CLTは木材なので住宅などの木造建築物をイメージするかもしれませんが、近年は国内でもゼネコン・デベロッパーを中心に中・大規模の建築物にも利用されています。海外の方が先行していますが、日本も追いついてきています。
CLTは構造材として活用されるケースも多いため、具体的にどの部分にCLT木材が使用されているかわかりにくいということもあるでしょう。そこでCLT木材採用に積極的な理由や建築事例などを紹介します。
脱炭素やSDGsといった世界的な動きの中でRC造やSRC造が一般的なビルの建築にもCLT木材が活用され始めています。国内ではゼネコンと言われる大手建設会社が木造化プロジェクトを組んで積極的に取り組んでおり、木造ハイブリッドやビル内の耐震壁としてCLT木材を活用。海外では高層木造ビルの建築例もあります。
循環型社会を意識した木造ハイブリッド型マンションやオール木造の中高層集合住宅の建築は世界的なトレンドになっています。国内でも大手の建設会社が「木造」をアピールしたマンションやハイブリッド構造の集合住宅の建築に着手しています。海外では1階はRC造でも上階はすべて木造の集合住宅の事例が多くあります。
中・大規模建築物の木造化・木質化の流れは大型商業施設も例外ではありません。国内では小規模な試験的なものから地域開発も組み込まれた複合商業施設の大型プロジェクトも進行しています。海外にはすでにショッピングモールなど大型商業施設の建築事例も多く、曲線で先進的なデザインは木造とは思えないほどの完成度です。
東京の国立競技場を始めとして、体育館やスタジアムといった大型公共施設の木造化が進んでいます。強度に優れるCLT木材も随所に使われており、地元産の木材をのCLTパネル材として利用する例も多いです。海外では大学のキャンパス内の体育館などを工期短縮のためCLT木材を利用する建築事例もあります。
社会福祉施設でのCLT木材活用事例は多くありませんが、少しずつ普及が進んでいます。グループホームや高齢者福祉施設で使用されるケースがあるほか、児童福祉施設で活用している事例も見られます。CLT木材の風合いを活用することで、施設の入所者や利用者、職員のストレス緩和やリラクゼーション効果などが期待できるでしょう。
さまざまな建築物に応用可能なCLT木材。まだまだ少ないですが、工場でCLTを活用するケースも増え始めています。主な用途は木材の加工場や集成材の工場で、CLTとラーメン構造を組み合わせて大規模な空間を確保したケースや工期の短縮を実現している事例も。また、内装材の仕上げが不要になるため、建築コストの削減効果も期待できます。
CLT木材は中・大規模建築物だけではなく、倉庫でも活用されています。工法によるものの、CLTパネルを利用すれば柱を少なくできるため、大きな空間を確保可能なのがメリット。空間を最大限に活用することができます。実際に倉庫へCLTを導入している事例では、大規模な空間を確保しているケースが多く見られます。
学校の校舎は、鉄筋コンクリート造も少なくありませんが、CLT木材を採用するケースは増加しています。ただ、CLT木材の使用量は個々のケースによりけりで、1階〜3階までの外壁を一枚のCLTパネルで構成した校舎もあれば、床の一部にCLTを採用した校舎もあります。また、CLTパネル工法とラーメン工法を組み合わせるなど、ハイブリッドな建築事例も見られます。
店舗では、多種多様な業種にCLT木材が活用されています。例えば、屋根の現し部分や店内家具の一部にCLTを使う事例もあれば、環境に配慮した郵便局実現のために採用したケースも。災害の復興支援のために、CLT木材で仮設店舗を開設した自治体もあります。このように、CLT木材は店舗で幅広く活用できるのが特徴です。
CLT木材は様々な施設で用いられており、研究施設でも採用されています。研究施設は研究がメインではありますが、建物が研究をイメージするものもありますので、決して外観を軽視しているものではありません。むしろ研究への理解を深めてもらうために、積極的に新しい技術を導入している研究所もあります。2階建てのものや燃え代設計を採用している事例など、形や工法の異なる事例をまとめました。
CTL木材は、住居以外にもバス停に用いられる事例があります。バス停がポツンと置いてあるだけのバス停ではなく、木造の魅力を活かした個性的なバス停が、CTL木材の活用事例として各地に増えてきているのです。そのデザインも個性豊かで、全体を木造としたもの、周囲をガラスで囲って木材部分をまるでインテリアのように心象づけるものなどさまざまなデザインが楽しめます。
公園や観光施設にあるトイレにも、CTL木材が積極的に使用されています。特に、観光地にあるトイレは周辺の環境や風景との調和も大切ですが、CTL木材を用いたトイレは木造の家屋用な温かみがあってよくマッチしています。休憩所としても使用することを想定しており、周辺にはベンチや車いす用の駐車場を備えた事例もあるのが特徴です。
社員寮をはじめとする共同住宅にも、CTL木材が用いられる例が増えてきました。中には、従来の社員寮のイメージを覆すような、天然素材の魅力あふれる建物もあります。天然素材を贅沢に使った注文住宅のような社員寮は、広さも十分といえるでしょう。狭苦しい印象もある社員寮のイメージからは程遠い、快適で広々とした空間になっています。
2022年に高知県にて、CLTを用いたガソリンスタンドが開設されています。耐火性を高めるために不燃木材を貼り合わせて建築されており、建築基準法などの法令も遵守した建物です。CLT自体は比較的耐火性能にも優れていると言われています。さらに東京都では助成金の制度も用意されているので、対象などの条件を満たしているなら活用を検討してみてください。
美術館にはありとあらゆる美術品が展示されていますが、中には建物自体がアート作品のような美術館も存在します。CLTはデザインの自由度が非常に高く、美術館の外壁や棚板などに活用されているケースも多いです。また、複数の工法を組み合わせた建物もあるため、CLTだけでなく木材で建てられた美術館の事例もチェックしておくと良いでしょう。
CLT工法は他の工法と比較して工期の短縮が期待できるため、速やかな移行が必要な消防署にも適しています。また、地震や火災にも強く、災害時に消防署が崩れてしまう危険性が低いです。そのため、建物の倒壊による出動の遅れなどが起こりにくく、スムーズかつスピーディーな人命救助ができるなど、メリットが多いのがポイントです。
木材のハイブリッド構造は、木材と鉄骨を組み合わせた建築技術で、環境に優しく高い強度と耐震性を持ちます。特にCLT(直交集成板)を利用することで、都市部でも耐火性とデザイン性を兼ね備えた建築が可能です。
具体的な事例として、兵庫県林業会館や仙台梅田寮、フレンシア青葉台などがあり、これらの建物は木材の特性を活かしながら、環境負荷を低減し持続可能な社会の実現に貢献しています。
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