近年は、工場建築にもCLTを活用する事例が増加しています。工期の短期化を目指せるCLTは、幅広い分野で導入されています。
この記事では、工場のCLT活用事例をまとめていますので、CLT活用の参考にしてください。
平成26年から現在にかけて、いくつかの工場でCLT木材を活用した建築が行われてきました。集成材製造工場や木材工場、加工工場、工場に併設する事務棟など、さまざまな場所で採用されています。
床や柱、壁、屋根、階段などあらゆる場所に活用されつつあるCLT。近年はCLT活用が促進されていることもあり、今後はCLT木材で建築される工場も増加する見込みです。
CLT木材で建築された、山佐木材のCLT工場棟です。大空間を確保するため、鉄筋挿入集成材による高剛性フレームのラーメン構造とCLT耐震壁を組み合わせています。CLTは耐力壁に活用されています。
CLTサイズは、150 x 3,300 x 1,895mm、150 x 1,955 x 3,790mm(5層5プライ)、構造は木造です。
CLT加工を用途とした山佐木材の自社工場で、耐力壁に大断面集成材CLTが使用されています。延床面積は982.25m2。鉄筋挿入集成材を使用した高剛性フレームのラーメン構造とCLT耐震壁の組み合わせにより、スパン25mの大空間の確保を実現。設計には、鹿児島大学で次世代の木質構造に関する研究を行っている教授が携わっています。
山佐木材ではCLTの製造に力を入れており、国内で二番目となるCLTのJAS認定を取得(※)。CLT工法をはじめ、RC造やS造の床・壁材としてのCLTの利用を提案しています。CLTの床利用については、旭化成建材との共同開発により2016年5月に2時間耐火構造の国土交通大臣認定を取得(※)。建築物の軽量化や躯体のコストダウン、工期短縮などのメリットが期待されています。
【基本情報】
竣工(予定日) | 2017年11月 |
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延床面積 | 982.25m² |
構造 | 木造(大断面集成材CLT利用) |
使用したCLT | 12m3 |
防耐火構造 | 地域指定なし |
㈱中東 集成材工場のCLT活用事例です。CLTパネルは耐力壁に用いられています。作業を屋外からできるようにしたことで、2週間の工期短縮を実現。CLTを活用することで、内装仕上げが不要となっています。
使用されているCLTパネルは約4mと大きく、大架構建築へCLTを活用するための事例にもなっています。構造は大断面集成材CLTを利用した木造で、CLTは壁と梁に採用されています。CLTサイズは、最大で210 x 600 x 5,780mm(5層7プライ)です。
【基本情報】
竣工(予定日) | 2018年3月 |
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延床面積 | 1993.82m² |
構造 | 木造(大断面集成材CLT利用) |
使用したCLT | 127m3 |
防耐火構造 | 準耐火建築物 |
日本国内で少しずつ普及が進んでいるCLTですが、CLT製造工場の整備はまだまだ進んでいません。JASの認定を受けたCLT製造工場は数が限られており、一般的な集成材・製材工場のようなスケールには遠いのが実情です。そのため流通量が限られるうえ、工場から現場までの距離が遠く、輸送コストがかさむなどの課題があります。
一方でCLTの利用は都市部を中心に増加しています。今後CLT製造工場の整備が進むと、流通量が安定化し、製造・輸送コストが低減される可能性があります。また、輸送距離が短くなれば、必要な輸送エネルギーが減ってCO2の削減に繋がることも期待できます。
CLT木材を活用した工場建築が増えてきているとはいえ、国内でLCT木材を活用した建築に対応できる業者は限られています。設計から施工までを依頼するのか、木材のみ調達したいのかによっても選ぶ業者は異なるため、まずは対応範囲を決めて業者を見つけましょう。相見積もりを取ったうえで、自社に合った依頼先を見つけることが大切です。
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