CLT木材を外観やエクステリアに用いる際には、見た目の美しさを保護する意味でも塗装が欠かせません。
表面に塗装をほどこすことでどのような効果が得られるのか、また、実際にどんな箇所へ塗装がほどこされているのか、事例を追ってみました。
屋外に長期間にわたってさらされる木材は、通常劣化していくものです。
太陽光に含まれる紫外線は、木材の表面にダメージを与え続けます。
さらには、雨水が木材表面の劣化部分を洗い流し、湿気によるカビなども発生させることで風化を促進させるのです。
これにより、屋外に配置された木材は次第に灰色へと変色していき、最後は表面が浸食されて凸凹とした状態に至ってしまいます。
ただし、断面に幅のあるCLTであれば、こうした気象条件による劣化は表面に限られたものとなり、機械的な強度を長く落とさず使用できます。
「現し」や「現し仕上げ」と呼ばれる建築は、柱や梁などの構造材をあえて表に見せるデザインです。
木は太い柱や梁なども美しいことから、現しにもよく合う建材。
しかし、木材を表に出すことで、そこには劣化のリスクをはらむこともあります。
特に外観に木材を使用する際は、保護を兼ね、防腐剤や防かび材、防虫効果が配合された塗装を行うのが一般的。
その塗装にもさまざまな種類があり、表面に塗膜を作る「造膜形塗料」と、塗膜は作らず木材の中まで浸透する「含浸形塗料」、そして、表面に薄い塗膜を張り、ある程度は浸透する「半造膜形塗料」(薄膜造膜形塗料)などから選ぶことができます。
屋外に配置された現わし仕上げのCLT材については、現在、塗装に関する詳しいデータが存在していません。
しかし、CLTの構造を考えると、おのずと塗装において注意すべきポイントが見えてきます。
まず、CLTは集成材から構成されているラミナを直交させているということを考慮しなければなりません。
表面のラミナの接合部や端などは断面が現われているため、雨水などが浸透するリスクがあります。
こうした接合部や断面には充分な塗装をほどこしましょう。
また、紫外線によるダメージを想定し、遮光効果のある塗料を用いるのが理想的です。その場合は透明や半透明のものよりも着色タイプの塗料がのぞましいです。
艶やかな木目の表面が美しいこちらのベンチは、CLT材を採用したもの。案内の板とベンチが直角に交わるよう配置されているのが特徴的です。
また、その断面に目を向けると、まっすぐな板目と年輪の見える面を巧みにデザインへと組み込んでおり、センスが感じられます。
塗膜塗料は木目を活かしてクリアタイプをチョイス。
雨風にさらされる場所ではありますが、撥水性があり、厚みのある塗膜によって水分に強く、汚れもつきにくくなっています
CLTが倉庫事務所棟の外壁に用いられており、その表面保護のために塗装がほどこされています。
塗料のカラーはナチュラルとダークオークの2種類。CLT材の木目に合わせて色が塗り分けられていることから、外観の印象がフラットになることなく、リズミカルなデザインに仕上がっています。と、同時に、木目の美しさを活かすことでぬくもりを感じられるのも魅力。
それぞれの塗料を3回塗り重ねているのもこの事例の特徴です。
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