CLT木材は、日本でも注目を集めつつある木質系材料です。この記事では、CLT木材の歴史と国内普及の課題を掲載しています。
CLT木材のアイデアは、1990年代にドイツで誕生したと考えられています。1995年頃に、オーストリアで製品として完成しました。その後、イギリス、イタリアなど、ヨーロッパ一円に普及し、さまざまな建築物に利用されることになります。さらに、アメリカ、カナダ、オーストラリアにも広がり、これらの地域でも高層建築物などに用いられます。
つまり、CLT木材は、1995年からヨーロッパ、北米、オセアニア地域を中心に世界中で急速に普及しました。これらの地域で受け入れられた理由は、すでにパネル工法が普及していたため親和性が高かったといえるでしょう。現在では、集合住宅や福祉施設の居住部分など、さまざまな建築物に用いられています。
日本国内でCLT木材の生産が始まったのは2009~2010年頃と考えられています。ただし、この時期から本格的に生産が開始したわけではありません。ヨーロッパでの普及を受けて、CLT木材の実験という形で生産が開始しました。本格的に生産・普及が始まったのは、2013年12月にJAS(日本農林規格)が制定されてから、あるいは2016年4月にCLT木材に関する建築基準法告示が施行されてからです。
2016年に建築基準法告示が施行されてから、告示に基づく構造計算などを行うことで、建築確認により建築が可能となっています。これまでは、個別に大臣認定を受ける必要がありました。CLT木材の普及に弾みをつけた出来事といえるでしょう。
以上の流れからわかる通り、日本にCLT木材が持ち込まれるまで完成から15年程度、日本で本格的な生産・普及が始まるまで完成から20年近くかかっています。長い歴史の中で木材を積極的に活用してきた日本ですが、CLT木材においては取り組みが遅れたといえるでしょう。それだけに、今後、普及する余地は大きいといえるかもしれません。
ただし、国内普及を目指すうえで乗り越えなければならない課題がないわけではありません。日本では建築物に木材を多く利用していますが、その多くは梁や柱です。CLT木材を製造するには製板材が必要になります。CLT木材の製造には、梁や柱の製造とは異なる技術や要件を求められます。この点は、主に製板材を用いて木造建築物を建てている欧米との大きな違いです。
当然ながら、製造機器についても同様のことがいえます。日本国内では、多くのケースにおいて体制の構築から始めなければなりません。また、材料供給から製造、運搬に関わる業者の連携も課題として挙げられます。効率よくCLT材料を供給できる体制を構築することが国内普及に向けたポイントになるでしょう。
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