こちらの記事では、狭小地向けの構法である「LC-gate(エルシーゲート)構法」についてご紹介しています。どのような構法なのか、またこの構法を用いたプロジェクトなどの情報をまとめました。
LC-gate(エルシーゲート)構法とは、都市部の狭小住宅向けに開発された構法です。この工法はCLTパネル工法とラーメン構造の組み合わせであり、間口方向の耐力壁が不要な点が大きな特徴。この点から、間口を大きく開けることにより、空間を利用可能となっている点が魅力といえるでしょう。
また、LC-gate構法専用の「基礎-壁接合金物」や、「梁-壁接合金物」についても新しく開発されている点もポイントです。
LC-gate構法を用いたプロジェクトの例として、世田谷区のカフェ「Garage house上馬」の事例をご紹介します。こちらのカフェは、世田谷通り沿いの狭小地に建てられており、LC-gate構法を採用した1棟目の建物となっています。
1階部分にはビンテージトレーラーが格納されている点がこちらのカフェの特徴。当初は、鉄骨造・在来木造でも設計されたものの、「トレーラーが設置できる店舗」という要望を実現するためにLC-gate構法が採用された経緯があります。
LC-gate構法を用いたカフェ「Garage house上馬」の建築にあたっては、さまざまな検証が行われています。
こちらのカフェの建築にあたっては、工場で内外装のセットを行うプレセット製造と呼ばれる方法が採用されています。狭小地への建築となり建て方後に外壁の確認やメンテナンスを行うことが難しいため、事前に実寸大のCLTパネルを使用してCLT外壁における防水性の検証が行われました。
内外装のプレセットを行った大型のCLTパネルの搬入と建て方を行うにあたって、効率的に作業を進めるために事前にBIMを使用した施工シミュレーションを何度も実施しています。対象となる敷地では前面にある道路の交通量や電線が多いため、トラックの搬入時間やクレーンの搬入時間を前もって決定し、オリジナルの治具も開発しています。
道路の占有許可時間などの関係から実際の作業に要した時間は7日間ですが、その後検証を行ったところ、こちらの構法を使用した場合には最短で4日間で建て方が完了可能である点を確認しています。
狭小地における家づくりにおいては、多くの制約があります。
例えば、狭小地が集まっている地域の場合には防火・準防火地域と重なるケースが多いと考えられ、万が一火災が発生した場合には延焼を抑えるための仕様が必要となります。そのため、使用する材料や内外装の仕上げに制限がある点が課題となることから、専門家と一緒に家づくりを行っていくことが求められます。
そのほかにも建物が密集しているため、互いの日照を確保できるように配慮することも必要です。
上記のように、狭小地で住宅を建てる場合にはまず防火対策について検討する必要がありますが、CLT構造材の中には耐火性を備えたものもあります。
例えば、国産ヒノキを使用したCLT構造材において「木材現し」かつ「石こう等の燃え止まり層無し」で90分の耐火構造認定を取得したものや、壁部材としてCLTを表層利用しつつ、CLTにより耐火被覆材を挟み込む構造の採用により、長時間の火災に耐えられる木質耐火壁の開発などが行われています。
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