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CLTも関わってくるZEB

CLTは、カーボンニュートラルの実現に向けて進められている「ZEB」の普及にも大きく関わっています。

このページでは、ZEBの基礎知識をおさらいしながら、ZEB事業にCLTが採用された実際の事例をご紹介します。

ZEBについて

ZEB(ゼブ)とは、快適な室内環境を実現しつつ、建物が消費する年間の1次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略称です。

建物内で人が活動すると、電力など何かしらのエネルギーを必ず使用します。そのため、そのままではエネルギー消費量をゼロにはできません。

ただ、省エネによって使うエネルギーを減らし、同時に使う分のエネルギーを創り出すことによって消費量を「正味ゼロ」にすることができます。

2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、省エネと創エネの両方を実現できるZEBの普及が求められています。

参照元:環境省「ZEB PORTAL」(https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/index.html)

ZEBのメリット

建物のZEB化を進めることによって、以下のようなメリットを得られます。

光熱費を削減できる

ZEB化によって、人の活動や建物の運用にかかる光熱費を削減できます。仮に、一次エネルギーの年間消費量を50%以上削減した「ZEB Ready(ゼブ レディ)」を実現した場合、従来の標準的なビルと比較して光熱費の削減量は40~50%程度です。

公共建築物や自社ビル、テナントビルなど、建物の利用形態によってオーナーが得られるメリットの範囲は異なりますが、どちらにしても光熱費が削減することに変わりはありません。

テナントビルであればテナント入居側も光熱費削減のメリットを得られます。

創エネ設備を設置すれば電力を買う量も減らせるため、さらなる光熱費の削減を目指せます。

快適性や知的生産性が高まる

近年の不動産市場では、立地や築年数といった建物の価値に加え、居住する人や建物を訪れる人にとっての空間の快適さも重視される傾向にあります。

ZEBは、省エネを実現しつつ、自然エネルギーの活用や個々に配慮した空調・照明の制御など、建物の運用のありかたが変わるため、より快適性を高めることができます。

「エネルギー消費量を減らしたいから」と、人が不快な環境を我慢しながら活動するのでは、快適な空間とは言えません。自然エネルギーを活用しながら、快適さを損なわずにエネルギー消費量を減らすのがZEBの大目的です。

最近では健康や快適性、知的生産性に焦点を当てた建物の認証制度も作られています。「空間の質」を重視する傾向は、今後さらに高まっていくと考えられています。

不動産価値が高まる

地球環境やエネルギーに配慮した建物は、従来の一般的な建築物と比べて不動産価値が高く、街としての魅力向上につながります。

SDGs宣言以降、企業の環境配慮行動に対して評価を行う動きが高まっており、ビルの入居者側も、質の高い執務環境や居住空間を求めるようになりました。

ZEB実現によって、オーナー側にとっては入居率アップや空室率低下、入居者側にとってはイメージアップや企業価値の向上につながります。

また、環境や省エネに配慮した建物は、「街の顔」として地域のまちづくりにも貢献します。

ひとつのZEBに続き、街全体がSEB化を推し進めてSDGsを目指す地域となれば、「魅力的な街」として人気が高まり、今後さらに不動産価値が向上する可能性もあるのです。

事業持続性に寄与する

建物の機能を維持するためには、電力などのエネルギーは欠かせません。ZEBによって建物に創エネルギー設備をつくっておけば、地震など、万が一の災害等や非常時に必要なエネルギー需要を削減できます。

部分的にはなるものの、再生可能エネルギーの活用によってエネルギーの自立を図ることもできるでしょう。

もし創エネ設備がない場合であっても、高い断熱性能や省エネ設備などを有していることによって、エネルギーの消費効率が高まり、ある程度建物の機能を維持できるようになります。

有事の際にエネルギーが確保されていることは、日々の生活で入居者の安心につながるのです。

テナントビルや商業ビルであれば、企業としての事業活動はもちろん、地域の防災拠点として貢献できる可能性も生まれます。

参照元:環境省「ZEB PORTAL」ZEB化のメリット(https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/03.html)

ZEB実現に向けた事業

環境省は、ZEBに資するシステム・設備機器等を導入する建物に対し、経済産業省と連携して令和5年度まで支援を行っています。(ZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業)

また、ZEB化を促進させるため、CLTなどの新たな木質部材を⽤いる場合は優先採択枠が設けられています。補助対象は延べ面積や事業者の種類、ZEBの種類によって異なりますが、1/3、2/3、1/2のいずれかの補助率で補助を受けることが可能です。

建物のZEB化を検討している場合は、ぜひチェックしておいてください。

参照元:環境省「CLT推進に向けた取り組みと今後の方向性」[pdf](https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/cltmadoguchi/kaigi/k_dai1/siryou1-3.pdf)

CLT工法を採用した事例

ゼロエネルギー木造オフィス

ゼロエネルギー木造オフィス

引用元:白江建築研究所公式ページ
https://www.shirae-associates.com/works/saitama_zeb.html

埼玉県の会計事務所が施主のゼロ・エネルギー木造オフィスです。「JAS構造材個別実証事業」によって、助成金を利用して建築されました。CLT工法のほか、建物の高断熱化と高効率換気システムによる省エネ化、太陽光発電システムを設置して創エネ化を実現しています。

外から見て確認できるCLTは屋外では玄関庇の下面、屋内では階段の段板のみですが、耐震性、断熱性、遮音性、耐久性に優れるCLTの特性を活かし、さまざまな箇所で使用されています。

日本を代表する樹種ヒノキの
特徴と
CLT木材への活用などを紹介

ZEBに取り組む際はCLTの採用も要検討

建物のZEB化によって、カーボンニュートラルの実現に貢献するだけでなくさまざまなメリットを得られることが分かりました。建物のオーナー側、入居者側のどちらもメリットを享受できるほか、建築物そのものが街や地域にも良い影響を与えられる可能性があります。

国内でZEBを普及するために、環境省をはじめとした行政ではCLTの推進も含めた複数の補助事業を実施しており、民間事業者や団体、地方公共団体と、補助対象も広くとられています。

建物のZEB化を検討する際には、このような補助制度を活用できるかも含めて確認してみましょう。

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