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CLTの耐久性

古い木造建築が多く残存する日本においては木材の建造物として一定の耐久性があることはわかっています。では新しい建築材料のCLT木材の耐久性はどうなのか、寿命を伸ばす対策方法も含めご紹介します。

CLT木材の耐久性

何十年、何百年も経過したCLT木材を使った建造物はまだ無いため耐久性については既存の木材の性質を頭に入れつつ、CLT木材の構造から考える必要があります。木材としての耐久性に加工方法や構造が影響するからです。

CLT木材は乾燥させてから直交させて接着させるため強度と建材としての安定性が高いとされます。木材における耐久性は腐朽による劣化が懸念されますが、木材を湿度20%以下に乾燥させ接着するため金具が腐食する可能性は低くなります。

また防腐防蟻処理については新しい建材のため、まだ規格が整備されていないですが薬剤の塗布による方法で耐久性を向上できると考えられます。その他、外部からの防水は ラッピングやウレタン樹脂、ポリマーセメントによる被覆処理により対策できます

接着剤によって使用環境も変わる

CLTを積層する際には接着剤が使われますが、CLTを用いる部分によって使用環境が変化します。主な接着剤は水性高分子イソシアネートやメラミン、レゾルシノールなどで、耐久性や養生時間が異なります。

CLTの接着に使われるポピュラーなものは水性高分子イソシアネートです。短時間で接着するうえ、高い耐久性を確保できます。一方、外部環境に近い部分や、耐久性が求められる部分のCLTではレゾルシノールが広く用いられています。レゾルシノールは、水性高分子イソシアネートと比較して長い養生時間を要するものの、外部環境に近い部分にも利用できる耐久性を有しています。

気候によるCLTへの影響に注意

表面の劣化が起きる

CLTは木材の板を積層したものであるため、湿気や日射に長くさらされると表面には自然な劣化が起こります。

ただし、その劣化の原因はさまざま。雨水が隙間に入り込みカビが生えることもあれば、強い日差しによる乾燥と紫外線のダメージで、割れる場合もあります。そして、最終的に木材が腐朽し、修理が必要な状態に至ってしまいます。

外観など、雨水や日射による影響が考えられる場所にCLTを使いたい場合は、防腐処理をほどこすことで腐朽を防ぐことができます。ただし、防腐処理が行われていても、屋根や軒などで木材が守られていない箇所では劣化が進み、腐朽に至るケースがあります。

地域性の考慮も必要

CLTなど、木材を外観に使用する場合などは、特に「木材風化の気象指標」を意味する「CI値」に着目する必要があります。

CIは地域ごとに分けられており、傾向として北よりも南のほうが数値は高くなっています。つまり、北よりも南のほうがCLTを始めとした木材が劣化しやすい地域であると考えられているのです。

CLT材を建物の外構に用いる場合は特に、日本列島の気象環境が地域ごと大きな違いを見せることに考慮しなければなりません。

CIに及ぼす影響が高いものとしては、高温・降水量・日射量の順となっています。

具体的な地域だと、東海地方・九州南部・沖縄などの太平洋岸のCI値に高い傾向が見られます。

さらには、夏に気温が高くなり、冬には降水量が多くなる北陸や山陰地方も、CI値が上がりがちです。

このようにCIの高い地域では、CLTを用いている建物などに対し、より雨水や日射への対策が必要となります。

周辺環境も確認したほうが良い

気象のほか、その土地や地域特有の風土に建物の劣化は左右されます。

例えば海辺の場合、潮風による塩害で建物の金属部分は腐食しやすいため対策が必須です。

同様にCLT木材においても、建物のそばに川など湿度を多く含む場所があった場合にはカビが発生しやすくなることも考えられます。

川や海側を向いている外壁や屋根などは特に対策をほどこしましょう。

メンテナンス

建物は月日が経てば必ず劣化していきます。しかし、事前に塗装をしておくなど、さまざまな対策によってその劣化の速度を緩やかにすることは可能です。

また、そのような劣化は、定期的なメンテナンスでも防ぐことができます。経年劣化を緩やかにするためにも、建物にはメンテナンスが必要であることを充分理解する必要があります。

木造建築の耐久性

木造の法定耐用年数は22年ですが、国土交通省の資料によれば木造住宅期待耐用年数は劣化対策等級2(フラット35基準程度)で50年~60年、劣化対策等級3で75年~90年、長期優良住宅認定で100年超とされています。

さまざまな要因が関係しますが、適切な木材が使用され構造化設計と継続的なメンテナンスが行われれば木造住宅は100年近く持つということになります。木造建築は耐用年数が短いイメージがありますがメンテナンス次第と言えるでしょう。

参照元:期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について:国土交通省[pdf](https://www.mlit.go.jp/common/001011879.pdf

通常の木材の耐久性

一般的に、通常の木材は芯材部は耐久性が高く、辺材部は低くなっています。これは、芯材部は抗菌性能が高く、辺材部は微生物栄養となるデンプンや糖類が多くあるからです。樹木の木材としての耐久性は樹種にも左右されるものの、基本的には辺材部の耐久性は低いものとして考えたほうがいいでしょう。

特に耐久性が高い樹種としては、ヒノキやヒバが挙げられます。これは、ノキチオールなどのトロボロン類に代表される抗菌物質が芯材部に含まれているからです。

他建築材料と比べて、耐久性はどうなのか?

法定耐用年数だけで考えると木造は22年、重量鉄骨造34年、鉄筋コンクリート造は47年ですので他の他建築材料と比べ耐久性が低いイメージがあります。しかし法定耐用年数は減価償却資産が利用に耐える年数のことなので実際の寿命とは異なります

桧などの木材は150から200年かけて強度を増していく性質があると言われており、法隆寺の五重塔など歴史的な木造建造物は1000年以上経過しても現存します。建築材料の種類だけではなく総合的に耐久性を判断することが重要です。

まとめ

建材の耐久性は数値として表しにくく、強度や腐食性などを考えると木材は他に比べて弱いように思われますが、イメージよりも実際には耐久性は高いと考えられます。さらにCLT木材は品質が一定に保たれるため偏りがなく安定した強さを維持できるでしょう。

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