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CLTの耐震性

地震が多い日本においては住宅やビルの建物性能を評価する際に耐震性は非常に重要なポイントになります。そこで木質パネル材として注目されるCLT木材の耐震性や他の建築材料と比較してどうなのか調査しました。

CLT木材の耐震性

CLTは厚さ30mm程度の板材を繊維が直交するように積層接着した木質パネルです。最大、厚さ300×幅3,000×長さ12,000mm程度にもなり、建築物の構造材として使用する場合は耐力壁として十分な機能を持っています。

CLT壁パネル単体でも耐震性は高いですが、厚みのあるCLT床パネルと組み合わせることで、さらに強固にできます。また既存建築物の耐震補強を目的とした耐力壁として活用することも可能です。

木造建築の耐震性

木造建築においては耐力壁の量が多いほど耐震性は高くなります。また建物の重量も耐震性に大きく影響します。地震エネルギーは建物の重量に比例して大きく作用するため、重たくなればなるほど揺れます

木造は鉄筋やコンクリートよりも重量が軽く、木材の量を多く耐力壁として使用しても重たくなりにくいため耐震性に関する評価も高くなります。日本においてからの古くからの木造建築が今も残っていることはその耐震性の高さを証明しています。

他建築材料と比べて、耐震性はどうなのか?

CLT木材で構成される建物は、強くて軽い木造の特性を受け継ぎながら、他建築材料に負けない強固な壁を実現できます。通常の木材でもコンクリートの重さに対する強度を1とすると鉄は4.5倍で、木材は9.5倍になります。

木材の曲げの強さは鉄の15倍以上、コンクリートの400倍以上あり、引っ張りの強さは鉄の4倍以上、コンクリートの225倍以上。さらにCLT壁は木材軸組工法の耐力壁の4倍の強さを誇ります。

参照元:CLT工法を丸太組構法で建設する中規模木造建築物:フェニックスホーム[pdf](https://www.kinoie.co.jp/wp-content/uploads/2021/02/d0d732058be17e1d0a9b763cfe5e0cb7.pdf

耐震性に必要となる靭性

建物の耐震性を決定づける要素はいくつかありますが、その中のひとつが「靭性」です。

靭性とは、その素材の持つ粘り強さのこと。言い方を変えれば、「力が加わった際に変形しても破壊されにくい性質」と言えるでしょう。靭性を測定する際の目安になるのは、外部からの圧力に対してどの程度耐えられるのか、素材に亀裂が生じたときにどの程度の抵抗があったかなとどなります。

ものの硬さを表す「硬度」の高い素材は硬いため切削されにくい反面、押しつぶす、折り曲げるといった形で力を加えられると割れてしまいやすい性質を持っています。反面、靭性の高い素材は、あえて変形しやすいことで破壊されにくい性質を持っていると言えるのです。

CLTが耐震工事に使用された事例

三重県尾鷲市役所本庁舎の改修工事

竹中工務店公式HP

引用元:竹中工務店
(https://www.takenaka.co.jp/news/2021/04/05/index.html)

三重県尾鷲市役所本庁舎の改修工事は、地産地消の観点から地元尾鷲産のヒノキを積極的に活用することを目的に行われました。新開発部材「CLTエストンブロック」(特許出願済)を部材として使用するほか、木材をさまざまな形で活用できるよう工事計画を立てました。さらに、工事期間中も庁舎機能を維持したまま工事を行えるように、さまざまな補強工事を行っています。

素材として採用されたのは尾鷲ヒノキです。正面玄関の外回りには、鋼板とヒノキを組み合わせた集成材「耐震市松®」を使用。また、風除室の素材としては、新開発部材「CLTエストンブロック」を採用しています。これは、ヒノキのCLTを蝶々の形に切り出した素材で、耐震壁の素材として使用されるのは初めての試みとなりました。

CLTを使った構法も開発されている

耐震剤として使用されることが多いCLTですが、CLTを使用した構法も現在開発中です。

開発されているCLT構法としては、株式会社熊谷組が開発した「木質耐震垂れ壁構法」が挙げられます。これは、鉄骨造の柱にCLTの木質垂れ壁を接合するという構法で、より耐震性能を高めつつCLT素材を積極的に使用することも目的として開発されました。

開発の背景

「木質耐震垂れ壁構法」を開発した株式会社熊谷組では、もともと中大規模の木造建築の需要がこれから高まることを見越して、さまざまな構法を開発していました。木質耐震垂れ壁構法もそのひとつです。この構法は、鉄骨造の建物においてCLTの木質垂れ壁を加えることで耐震性能を高めるというコンセプトのもとに開発されました。

この構法によって建築された建物には、地震に対する高い抵抗力と木質感を全面に押し出した意匠性の両立というメリットがもたらされます。

技術の概要

木質耐震垂れ壁構法は、鉄骨造の柱にCLTの木質垂れ壁を接合するというものです。鉄骨柱と木質垂れ壁のフレームがラーメン構造をなしており、高い耐震性能を実現しています。この構法で建てられた建物の耐震性は、特に鉄骨柱と木質垂れ壁の接合部の性能に大きく左右されます。そのため、株式会社熊谷組では、接合部の性能を確認するために実物大の試験材を用い、性能実験を行っています。

まとめ

木材は軽くて強い性質があり耐震性を考える上では他の建材に比べても評価が高いと言えます。一方で経年変化が大きく節や板目の方向によるバラツキがあり取扱いが難しい面もあります。近年では地震に強いツーバイフォーのような枠組壁工法が採用されるようになりましたが、無垢材より建材として安定しているCLT木材はそうした流れにマッチしていると言えます。

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