木材特有の断熱性と壁式構造の特性を活かしてさまざまな場所に用いられているCLT木材。そのCLT木材が用いられている場所のひとつがバス停です。ここでは、CLT木材が用いられているバス停の事例をピックアップしているので、バス停にCLT木材がどのように活用されているか見ていきましょう。
平成28年度CLT等新技術普及促進事業の一環として建設されたバス停です。用いられたのは秋田県から交付された補助金で入手された秋田県産杉で、既存設備をリノベーションして生まれ変わりました。
ベンチ部分は、座面、背板、間仕切りにCLT素材が用いられており、木目の美しさが楽しめます。また、多くの人が目にする時刻表部分にもCLT素材が用いられているので、木材を用いた建造物のアピールにも役立っています。
天井に目を向けると吊り下げ板にもCLT木材が使用されており、木のぬくもりに囲まれた空間を実現しています。
【基本情報】
竣工(予定日) | 2016年8月 |
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延床面積 | 29.9m2 |
構造 | 鉄骨造(CLT利用) |
使用したCLT | 2.063m3 |
防耐火構造 | その他 |
いずれもCTLを用いた耐力壁と屋根板を組み合わせたフレーム構成を採用したバス停です。また、コンクリート製の耐力壁の基礎部分と屋根板との接合は、木材に穴を開けて接着剤を充填するGIR接合方式を採用しており、金物部分をCTL内に収めています。
周囲をガラスで覆われたバス停は見通しがよく、周囲の景色を楽しみながらバスを待つことができます。また、夜になると天井の照明が点灯し、昼間とはまた違う美しさを見せてくれるのが大きな魅力となっているのです。周囲に敷き詰められた砂利も、和風庭園のような雰囲気を醸し出しています。
【基本情報】
竣工(予定日) | 2017年3月 |
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延床面積 | 9.92m2 |
構造 | 木造(壁式構造CLT利用) |
使用したCLT | 2.77m3 |
防耐火構造 | 22条地域/その他 |
自社に見られるような特徴的な形状の軒が印象的なバス停です。この軒は「二軒(ふたのき)繋垂木」を用いたもの。軒の出は2メートルほども突出しており、垂木端部を貫接合部のキャンティレバーとして用いることで支持する構造となっています。
古い日本家屋を思わせるデザインと木材の美しい木目がよくマッチしたデザインとなっており、どことなくノスタルジーを感じさせてくれる場所となっています。現在の状態も美しいですが、時間を経て古くなってくるとだんだん味が出てきそうなデザインです。ポスターなどを掲示するスペースもあり、さまざまな人が目にする場所となるでしょう。
【基本情報】
竣工(予定日) | 2014年5月 |
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延床面積 | 6.5m2 |
構造 | 塀(CLT利用) |
使用したCLT | 1.7m3 |
防耐火構造 | その他 |
箱状のシンプルな形状を採用したバス停です。特徴的なのは、なんといっても人力で施工できるという点でしょう。このバス停を構成する素材はCLT木材の端材を原料として制作されており、ブロックを積み重ねるようにして建物を構成しています。ブロック単位で分かれているので車両や重機を用いなくても運搬が可能で、簡単に施工できるというのは大きなメリットです。CTL材の普及にも大いに役立つでしょう。
バス停のデザインも、まるで積み木を重ねたような独特なものになっています。子供に人気が出そうな親しみのあるデザインになっていると言えるでしょう。
【基本情報】
竣工(予定日) | 2015年3月 |
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延床面積 | 5.4m2 |
構造 | 木造(積層構造CLT利用) |
使用したCLT | 1.35m3 |
防耐火構造 | その他 |
非常にアーティスティックなデザインが特徴的なバス停です。積み木を組み合わせたような独特のデザインのこのバス停は、7層7プライのスギCLTを使用しています。
一見バス停とは思えない東屋のような雰囲気のバス停は、周囲の景観にもよくなじんでいる一方で、木造建築の魅力で目立っています。CTL木材の魅力を周囲にアピールするにはちょうどいい建造物であると言えるでしょう。
【基本情報】
竣工(予定日) | 2015年3月(現在は撤去) |
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延床面積 | 4.76m2 |
構造 | 木造(壁式構造CLT利用) |
使用したCLT | 5.04m3 |
防耐火構造 | その他 |
ヒノキのCLTを用いたバス停です。柱や梁などの構造物が外部から見える状態で建物を建てる「あらわし」と呼ばれる構造で作られており、木材の持つ木目の美しさを強調したデザインになっています。
木材よりも周囲を囲むガラスのほうが面積が広いデザインとなっていますが、逆説的に面積の狭い木材がよく目立つ秀逸なデザインとなっています。ベンチ部分と天井部分に比べて、壁はほぼガラスで構成されていますが、木材部分がまるでインテリアのようにも見えるのが印象的。
【基本情報】
竣工(予定日) | 2014年2月 |
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延床面積 | 8.12m2 |
構造 | 木造(壁式構造CLT利用) |
使用したCLT | 3m3 |
防耐火構造 | その他 |
CLTの木材を利用する建物は、住居に限らずたくさんあります。今後もCLT木材の利用による国内の森林資源の活用が望まれていますが、まだCLT木材を用いた施工に対応可能な業者は限られているのが現状です。また、業者によって対応可能な範囲も異なりますので、業者を選定する際には事前に対応範囲をよく調べておく必要があります。
たとえば、設計の段階から依頼したい場合は、すべての工程をワンストップでやってくれる業者を、木材のみを仕入れたい場合は製材を専門としている業者を選ぶといったように、目的に応じて選ぶべき業者の傾向が異なる点に注意しましょう。
日本を代表する樹種ヒノキの
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CLT木材への活用などを紹介
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