地域材の利用が推奨される背景には、地域経済の活性化や環境保護など多くのメリットがあります。一方で、安定供給の難しさなどのデメリットも存在します。ここでは、地域材のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
地域材を利用することには、経済的支援や地域の活性化、森林管理の促進など多くの利点があります。
地域材を利用することで、さまざまな補助金を受け取ることができます。国土交通省の「地域型住宅グリーン化事業」では、地域材の使用を推奨している企業グループを選択し住宅を建築すると、補助金が支給されます。
また、海外の情勢により木材輸入が滞っているため、国産材への転換を図る事業者に対する支援も強化されています。各自治体でも、地域材を使った木造住宅の建築や増改築に対して補助金や助成金を提供する動きが広がっているようです。
戦後に植林された木材は伐期を迎えているにもかかわらず、4割程度しか活用されていない状況です。その原因の一つは林業全体の衰退や高齢化、人材不足です。
また、森林所有者の関心が薄れ、適切な管理が行われないケースも増えています。2019年4月に制定された「森林経営管理制度」により、個人では管理しきれない山林を市町村主導で整備する制度が始まりました。地域材を活用することで林業が活性化し、地域全体の活性化にもつながります。林業が活発になることで、新たな雇用が生まれ、地域の経済が潤うだけでなく、住民の生活の質も向上します。
林業の衰退により人工林の管理が滞ると、山林が荒廃します。健全な森林管理には植林、間伐、伐採、活用のサイクルが必要です。地域材の利用は、このサイクルを維持し、持続可能な森林管理に貢献します。
また、地域で産出される木材を使用することで、木材の移動にかかる二酸化炭素排出量の削減も可能です。
地域材の利用には多くのメリットがある一方で、安定供給の面での課題も存在します。
地域材の調達が難しい理由には、川上から川下までの情報連携が不足していることや、一定品質の材料が大量に要求されることがあります。本来、地域材は林業や丸太が身近にあり、連携が取りやすいはずです。
しかし、現実には地域材の活用が進まないのは、情報伝達の不足や外国産材に劣る実態が原因です。川上から川下までの情報を共有することで、効率的に地域材を利用することが可能になります。また、中大規模木造建築物ではJAS材の調達が必須です。JAS材は日本農林規格が定める基準をクリアした木材ですが、JAS認定工場の割合は全体の1割程度しかありません。そのため、JAS認定工場の少なさと地域指定の影響で、調達が困難な状態になっています。
地域材の納期が不安定な理由は、情報共有が不十分であるためです。必要な寸法の材料が在庫されていない場合、伐採、搬出、製材、乾燥の工程を経るため、短納期に対応することが難しいのです。
地域材には多くのメリットがありますが、調達の難しさや納期の不安定さといった課題も存在します。そのため、地域材だけでなく、他の木材も比較しながら、自社の条件に最も適した材料を選ぶことが重要です。地域材を上手に活用することで、経済的支援を受け、地域の活性化や持続可能な森林管理に貢献できます。
目的と用途に合わせて選ぶ
おすすめ
CLT木材製造メーカーをチェック
木材のみ購入したいなら
設計から依頼したいなら