近年、木造高層ビルの建築が注目されています。その独自の美しさや環境への配慮により、企業やゼネコンがこの新しい建築方式を検討するケースが増えています。しかし、木造高層ビルにはメリットとデメリットがあり、導入の際には慎重な判断が必要です。本記事では、そのメリットとデメリットを分かりやすく紹介します。
まずは、木造高層ビルのデメリットを見ていきましょう。
木造高層ビルでは、CLT(クロスラミネーティッドティンバー)やLVL(ラミネーテッドベニヤランバー)など、高強度の木材を使用する必要があります。このような木材は強度が高い分、コストも高くなります。特に4階建て以上の建物の場合、鉄骨や鉄筋コンクリートと比較して、建築費用が高くなるケースがあります。
ただし、基礎工事の費用や現場作業員の数が抑えられるなど、コスト削減要因もあります。そのため、木造ビルの総コストは、構造材や基礎工事を個別に考えるのではなく、総合的に検討することが重要です。
CLTパネルは、工場であらかじめ加工され、現場ではそのまま組み立てる方式が一般的です。これにより、現場での迅速な施工が可能になりますが、現場の状況に応じた柔軟な加工が難しくなります。そのため、設計段階で詳細な検討を行い、現場での調整が不要なようにすることが求められます。
一方で、木造高層ビルには数多くのメリットもあります。
木造は鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて軽量です。そのため、建物全体の重量を減らし、基礎工事の規模も小さくすることができます。地盤に与える影響も軽減できるため、地盤改良の費用を抑えることが可能です。総じて、建築費用を削減することが期待できます。
木材はその温かみのある見た目から、視覚的にリラックス効果をもたらします。また、木材には調湿効果や断熱効果があるため、過乾燥や湿潤を防ぎ、快適な室内環境を提供します。商業ビルやオフィスとして利用する場合も、利用者にとって快適な空間を作り出すことができます。
木造建築は軽量であるため、地震時に生じる揺れのエネルギーが軽減されます。その結果、建物に加わるダメージを抑えることが可能であり、地震に対して安全性の高い建物を提供します。
木材は二酸化炭素を固定化するため、環境に配慮した建材として注目されています。SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献できる建物であり、企業の社会的責任(CSR)をアピールする手段にもなります。
木造建築で用いられるCLTやLVLは、工場であらかじめ生産されるため、現場での加工が少なく、作業効率が高まります。その結果、鉄筋コンクリート造と比較して工期が短縮され、仮設工事やリース料金の軽減につながります。
木造建築物の税務上の耐用年数は24年と、鉄骨(38年)や鉄筋コンクリート(50年)に比べて短いです。これにより、減価償却費用を早期に計上でき、投資効率を高めることが可能です。
木造高層ビルは、その環境面でのメリットや快適な空間の提供など、多くの利点を持っています。しかし、コストや設計段階での計画の緻密さなど、注意すべきデメリットもあります。企業やゼネコンが木造ビルの導入を検討する際には、これらのメリットとデメリットを総合的に理解し、適切な判断を行うことが重要です。
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