CLT(直交集成板)は、繊維の方向を直交に積層接着されているパネル。
そのように繊維方向が直角に交わるよう板を重ねることで、いったいどんな効果や特徴が生まれるのでしょう。
ここでは、その中でも特に「断熱性能」に着目してみました。
CLT木材は断熱性に優れていると言われていますが、それはそもそも熱伝導性がとても低く、熱を遮断するから。
その理由のひとつに、木材が多孔質材料であることが挙げられます。「多孔質」とは、細孔(微細な穴)が非常に多く空いているという意味。通常、その細孔の中には空気を含んでいるため、熱が伝わりにくいのです。
例えば、10cmの厚さのCLTパネルがあるとするならば、1.2mの厚さを持つコンクリートや、5cm幅のグラスウールと同程度の断熱性能を発揮します。
参照元:CLT建築推進協議会(http://www.clt-kenchiku.org/wdoc/?q=grp02#h2docgrp02_18)
業務やその他の部門を対象に、2030年度には、2013年度と比較して約40%のエネルギー消費削減が求められています。
これは、平成28年(2016年)に閣議決定した地球温暖化対策計画によるもの。
では、なぜ業務やその他の部門が対象になってるのかと言われれば、国内のエネルギー消費の内訳で、その20%弱を業務部門が占めているためです。
例えば建築物に対しては、断熱性やCO2削減の性能の向上が必要とされているのです。
国内ではあまり見ることのできないCLT工法を用いた金融機関の店舗。建物全体も木造からなっており、内壁だけでなく外壁や床板・屋根にもCLT木材が使われています。木造であるため外観は金沢の街の景観によく合い、柱や梁といった構造材をあえて見せる現し仕上げの内観は、木材の美しさを存分に活かしています。
木造の建物で、外壁・内壁・天井などにCLT木材が用いられています。
断熱性能を確かめるため、実際に北側の壁を調べ、300mmの厚さを持つCLT壁と、120mmの厚さがあるCLT壁の表面温度を比較。
床暖房を使用中の場合は2つの壁に温度差はありませんでした。しかし、床暖房を使用していない場合には、300mmの壁のほうが常に高い温度を示すことが明らかに。
この測定により、CLT木材が高い断熱性を持つと同時に、優れた蓄熱性を備えていることがわかりました。
CLTと鉄骨が混在している構造物。1階はRC造とし、その上の2階から5階がCLTと鉄骨によって造られています。内壁はもちろんのこと、外壁にはガラスサッシとCLTを組み合わせ、市松模様のデザインをほどこしているのが大きな特徴。これにより採光と断熱性の両方を実現しています。
執務室の壁には木目を活かしたデザインとしてCLT材を採用。
断熱効果や蓄放熱効果を調査すると、暖房を使用している際には室内からCLTへの熱の流れが見られます。これは熱がCLT材の壁に吸収されていることを示すもの。しかし、暖房を止めたあとは、CLTから室内へと放熱が確認でき、蓄熱性が認められます。
建物内部にはCLT材を現し仕上げ使用。木のぬくもりと香りに包まれた室内は、2階部分に150mm厚のCLTをダブルで採用し、厚さの合計は300mmになっています。デザイン的には格子状の天井に繊細な美しさが感じられ、木材の良さが引き出されています。
組合長室は現し仕上げを採用し、そこに300mm厚のCLT材を利用。ほかにも各室内に適した厚みCLTを用いるなどの工夫がほどこされていて、空間の大きさ・部屋の広さなど、スペースと環境に合わせた厚みを選べるのもCLTの強みです。
壁や屋根には150mm厚のCLTを現し仕上げにて採用。鉄道会社であるため、建物は鉄道の高架下に位置しており、太陽の光があまり届かないという特徴が。そのためCLT材の断熱性に期待が持たれています。
断熱効果と蓄熱効果の数値を測定したところ、CLTを用いていない壁は常時、熱を吸収していることが示されていました。対して、CLT材を用いた壁は、室内を暖房している間は熱を吸収しているものの、暖房が停止すると微量な放熱が伺えます。これは、吸収した熱を放出している蓄熱効果によるものだと考えられます。
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