こちらでは、木質バイオマスの種類やさまざまな活用方法、そしてメリット・デメリットについて紹介しています。
バイオマスという言葉を英語で表記すると「biomass」となります。「bio」は「生物資源」を、そして「mass」は「量」を表しています。合わせて、「化石燃料を除く再生可能な有機性資源」を意味する言葉になります。そして、木材からなるバイオマスは「木質バイオマス」という名称で呼ばれています。
森林を伐採する際に生じる枝・葉などの【未利用間伐材】、製材工場などで生じる樹皮・おがくずなどの【製材工場等残材】、そして住宅の建設および解体時に生じる【建設発生木材】があります。
間伐や主伐によって伐採された木材のうち、使用されることがないまま、林地に残されている残置されている未利用間伐材。その発生量は、年間およそ2,000万立方メートルにもおよびます。
その大量な未利用間伐材を活用するためには、施業の集約化や路網の整備などを実施して、現在よりも安定的・効率的に供給できる体制を整える必要があります。また、需要の開拓についても、一体的に進めていくことが求められます。
製材工場などで生じる樹皮・背板・のこ屑などの残りである材工場等残材。年間およそ640万トン発生しています。そのほとんどが、木質ボードや製紙原料、エネルギーなどとして再利用されています。
土木工事の建設現場や住宅の解体工事などの際に生じる、建設発生木材。年間の発生量は、およそ500万トンですが、そのほとんどが、製紙原料やボード原料、家畜敷料、エネルギーなどとして再利用されています。
参照元:日本木質バイオマスエネルギー協会(https://jwba.or.jp/woody-biomass-energy/woody-biomass/)
エネルギーとして、その他さまざまなマテリアルとして、再利用されている木質バイオマス。具体的な再利用方法をご紹介します。
ストーブやボイラーを用いて、直接木質バイオマスを燃焼させて、お湯を沸かしたり暖房として空間を温めたりするなどの活用方法のほか、発電施設を稼働させるなど、温暖化防止につなげるための取り組みの一環としての活用方法もみられます。
北海道では、おが粉を家畜の敷料にしたり、長いもなどの農産物の梱包材料にしたりして、木質バイオマスがマテリアル利用されています。また、木質バイオマスの中でも、トドマツの枝葉については、その抽出成分が持つ空気浄化機能が着目され、消臭スプレーや空気浄化剤などの製品に利用されています。
さらに、ちかごろでは「セルロースナノファイバー」「改質リグニン」「バイオエタノール」などの素材の原料としての活用方法も注目を集めています。
注目すべきメリットが多数あります。
エネルギー利用のために木材を燃やすと、二酸化炭素が排出されます。けれども、伐採した分の樹木を新たに育てれば、その生長過程において二酸化炭素を吸収します。そのため、結果として大気中の二酸化炭素濃度を増やすことにはならないのです。つまり、カーボンニュートラルの推進に貢献しているといえるわけです。
工場廃材や住宅解体材などは、本来であれば廃棄されてしまう木材です。それらを活かしてエネルギー利用につなげることができるわけですから、循環型社会の実現に貢献していることになります。
木質バイオマスの施設を購入すれば、その地域では、木質バイオマス設備を運営および維持していくのに必要な人員の雇用が発生します。その結果として、地域活性化につながる可能性もあります。
太陽光や風力など、自然を利用する再生可能エネルギーの場合、自然の状況に大きく影響を受けるという問題点があります。その点、木質バイオマスを利用する場合であれば、倉庫などに保管しておくことができるだけでなく、気温変動の影響もそこまで大きくありません。そのため、より安定的な運用が可能になります。
木質バイオマスの原料である樹木は、安定的に生産することができます。しかも、遺伝子組み換えなどの技術を応用した樹木の品種改良研究なども進化を続けています。
メリットの多い木質バイオマスですが、おさえておきたいデメリットもいくつかあります。
燃焼温度が低いので、発電効率はあまり高くないとされています。林野庁のデータからも、多くのエネルギーが電力に変換されず、無駄になってしまっていることがわかります。
専用の施設を購入する必要があるため、初期費用がかなりの額になってしまいます。この点は、導入を検討している会社にとって、大きな懸念材料となっています。
木材加工業者などと協力して木質バイオマスの原料を提供できる流通体制をしっかりと整備できないと、燃料の調達自体が困難になります。
参照元:Spaceship Earth(https://spaceshipearth.jp/woodybiomass/#木質バイオマスの特徴やメリット)
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