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圧縮木材

こちらでは、針葉樹を中心とする木材のさまざまな問題を解決してくれる圧縮木材について、特徴やメリットなどをわかりやすく解説しています。

圧縮木材とは

圧縮木材とは、繊維に対して垂直方向に熱と圧力を加えて圧縮した木材のことです。さまざまな付加価値をもつ特殊な木材です。

木材の圧縮は昔から用いられてきた技術ではありますが、近年、針葉樹の用途を広げるための技術として、圧縮木材への注目が高まりつつあります。針葉樹は広葉樹よりも柔らかいものが多いので、家具や内装材としての使用には問題が生じることもあるのです。特に、間伐材は樹齢が若いので、とても柔らかいです。そういった木材を圧縮することで硬さをもたせれば、国内人工林の用途拡大につながる可能性があります。

木材圧縮のメリット

木材圧縮にはさまざまなメリットがあります。主なメリットは次のとおりです。

強度の向上

広葉樹なみの強度、あるいはそれ以上の強度にすることも可能です。強度が高いということは充分な硬さがあるため、傷がつきにくくなり、耐摩耗性もアップします。強度のある木材は家具やフローリングを含む、幅ひろい用途に採用できるようになります。

安定性の向上

無垢材と異なり、安定性が高いです。無垢材は人気のある木材ではありますが、寸法安定性が低いという問題点があります。空気の湿度によって収縮・膨張しやすく、しかも木材の場所ごとにその変化率に差があります。その結果、反り・ねじれが起こってしまうのです。その点、圧縮木材は圧縮により材質が均一化されているため、反りやねじれのリスクが低くなっています。

見た目の変化

木材を圧縮すると、見た目が変化します。たとえば、杉であれば、もともとの明るい色から茶褐色へと変化します。色のトーンが暗くなるため、「深み」「高級感」「重厚さ」などのテイストをもつ、落ち着いた雰囲気の木材になります。

加工しやすくなる

材質が均質化されているので、加工がしやすくなるというメリットもあります。例えば、圧縮をかけていない杉は、春~夏のシーズンに成長する早材と夏~秋に成長する晩材とでは、硬さに差があります。そのため、切削する際に、早材のほうが深くえぐられてしまうなどの問題が生じやすいのです。

耐水性の向上

耐水性も向上します。圧縮をかけると木材の中空構造がつぶされるため、細胞密度が高くなります。その結果、水分が内部に侵入しにくくなるのです。ウレタン塗料などで防水することも可能ですが、その場合は、どうしても木材がもつ本来の質感は損なわれてしまいます。

化学物質を使用していない

木材圧縮は、熱と圧力のみを加えることで木材を圧縮していく加工方法です。そのため、化学物質は必要ありません。家具や内装材として採用する場合も、シックハウスのリスクを抑えられるのです。人にも、そして環境にもやさしい木材であるといえます。

木材圧縮技術は2種類

木材を圧縮するための加工技術には、「圧縮成形技術」「表層圧密技術」の2種類があります。

圧縮成形技術

切削をせずに、木材を任意の形状になるよう加工する技術のことを、圧縮成形技術といいます。成形金型を使用して木材を形づくっていくため、切削作業の手間を省くことができます。角材を円柱状や湾曲した形状に変化させたり、あるいは金型の凸凹で材表面を装飾したりするなど、自由度の高い加工が可能です。

また、圧縮された木材表面は緻密な状態になっているため、目止めや下塗りなどを簡略化できます。つまり、研磨作業の負担軽減も可能です。

表層圧密技術

表層圧密技術は、木材を「針葉樹と広葉樹のいいとこ取りをした木材」に仕上げるための木材圧縮技術であるといえます。

針葉樹を加工する際に、材表面付近のみを圧縮する表層圧密技術を採用すれば、針葉樹の表面の細胞密度のみを高くすることが可能です。表層部の硬度が高くなれば、傷つきやすいという針葉樹の問題点を解決できます。さらに、内部の細胞密度は低いままであるため、針葉樹の良さである「軽さ」のほか、衝撃吸収性・断熱性の高さについてもそのまま維持できるのです。

CLTにもデザインや強度のメリットがある

圧縮木材のさまざまなメリットについてみてきましたが、このほかにも、数多くのメリットをもつ木材があります。注目の木材のひとつとして、CLTが挙げられます。工場でパネルが作成されるため、工期の短縮が可能になるほか、デザインにおける自由度や強度・断熱性、SDGsへの貢献の高さなど、注目すべき特徴をそなえています。

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