この記事では、CLT木材に日本農林規格(JAS)が制定された背景と具体的な規格の内容を解説しています。
2013年12月、CLT木材に関する日本農林規格が制定されました。背景にあったと考えられるのが、品質や強度が明らかな建築資材への需要の高まりです。建築基準法が改正されたことで中大規模建築の木造化が可能になったことなどを受けて、品質や強度が明らかな木材への需要が高まったと考えられます。
日本農林規格は、JAS法に基づき国が制定した林産物などの品質などに関する規格です。規格を満たすことで、林産品などにJASマークを表示できます。JASマークには、さまざまな情報が記載されます。参考に、機械等級区分構造用製材に記載される情報を紹介します(表示内容は林産品により異なります)。
寸法や強度などがわかるため、JASマークがついている木材は建築物に利用しやすいといえます。
ここからは、日本農林規格(JAS)に定められているCLT木材の品質の一部を抜粋して紹介します。
表示寸法と測定寸法の差が許容差以下であることを求められます。
区分 |
表示と測定における寸法の差 |
直交集成板の厚さ |
75mm以下:1.5mm |
75mm超:±2% |
|
直交集成板の幅 |
±3.0mm |
直交集成板の長さ |
±6.5mm |
表面における対角線の差※ |
3.0mm |
※製品特特有のニーズに対応する場合は除く。
また、CLT木材の厚み、幅、長さは以下を満たさなければなりません。
区分 |
数値 |
厚さ |
36mm以上500mm以下 |
幅 |
300mm以上 |
長さ |
900mm以上 |
ラミナについても、寸法や品質に関する規格が設けられています。ちなみに、ラミナは直交集成板をつくる最も小さな単位のひき板です。 ラミナの寸法は次の通りです。
ラミナの品質は「等級区分機によるもの」「目視等級区分によるもの」「長さ方向の接合の方法」に分けて、さまざまな規格が設けられています。例えば、等級区分機によるものでは、強度性能・材の両端部の品質(MSR区分に限る)・その他、目視等級区分によるものでは、強度性能・その他の規格が設けられています。
一例を紹介すると、等級区分機によるもの内の強度性能では、MSR区分したもの・機械等級区分したもののいずれかの要件を満たさなければなりません。MSR区分したものでは、ラミナの曲げヤング係数の平均値が所定の曲げヤング係数の平均値の数値以上であり、ラミナの曲げヤング係数が所定の曲げヤング係数の下限値の数値以上であることが求められます。ここでいう所定のヤング係数は「日本農林規格 直交集成板」内に記載されています。
これらのほかにもさまざまな規格が設けられているため、JASマークが表示されている木材は品質や強度が明らかと考えられるのです。
参照元:農林水産省「日本農林規格 直交集成板」(https://clta.jp/document/detail/助成金/)
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