CLTは壁や床、天井などに用いられるのが一般的ですが、屋根に活用することも不可能ではありません。実際にCLTパネルを屋根に採用している施設もあります。ここでは、CLTを屋根に活用する際のポイントを解説します。
CLTパネルの屋根への適用事例として挙げられるのが高知県香南市の施設です。同市が解説した子育て支援センター「にこなん」では、厚さ150mmのCLTパネルを接合して大きな折板屋根を構築しています。CLTは野地板や天井部分の仕上げなども兼ねており、梁や桁のない空間を実現しています。
また、全面を現しとして使うことで、難燃剤の使用を使用せずに建築順を満たしているのも特徴。木目をデザインとして取り入れつつ、建築物の耐火性能もしっかり確保されています。
参照元:新建築データ(https://data.shinkenchiku.online/articles/SK_2019_10_118-0)
兵庫県垂水区にオープンしたカフェ「CLTカフェ」の事例をご紹介します。その名の通り、CLTの魅力を紹介する目的でオープンしました。店内には木材がふんだんに使われていますが、オール国産CLTである点が大きな特徴です。
そしてこちらのカフェで特に目を引くのは、屋根が階段状に設計されている点。この屋根部分にもCLTが使用されています。ゆったりと海を眺めながら時間を過ごすことができる空間といえるでしょう。
参照元:KOBECCO(https://kobecco.hpg.co.jp/6085/)
屋根にも使用できるCLTパネルは、鳥取CLTが販売しています。同社のJパネルは国産材を3層構造にしており、木の美しいデザインはそのままに、高い寸法安定性と強度を確保しています。また、耐力壁として使うのはもちろん、床や屋根などの水平構造にも適用が可能です。
素材は木材のため重量が軽いうえ、接着剤の使用も抑えられています。そのため、人の手で持ち運べる軽さを実現しており、現場でも気軽に取り回せる施工性を備えています。
参照元:鳥取CLT公式ページ(https://tottoriclt.co.jp/jpanel/)
CLTはJAS規格商品であり、主に非住宅物件に使用されています。また、1枚ずつラミナ(引き板)の強度検査をして選別を行っている点に加えて試験なども行うことから、価格も割高になる傾向があります。
対してJパネルは「AQ認証商品」であり、主に住宅や造作・化粧用途として使われています。
屋根への適用が可能なJパネルですが、積層部分の剥離が起きる可能性はあります。木材の接着に使用している接着剤が使用環境Bで、屋外を想定していないためです。ただ、表面に撥水性能が高い塗料を塗布したり、こまめなメンテナンスも行ったりすれば、雨に打たれる場所でも見た目は維持できる可能性があります。
屋内を想定した接着剤を使っている鳥取CLTのJパネルですが、長期間の暴露実験を実施しています。2023年10月20日時点では、6年目の写真が公開されており、野ざらしの状態でパネルがどのように変化するか観察が行われています。
同社の暴露実験では、表面や接ぎ部にひび割れの発生が確認されています。また、割れた部分から木がめくれあがる現象も起きているようです。ただ、無塗装の状態で長期間実験しているため、塗装した場合はこの限りではありません。一方で積層部の剥離は起きておらず、しっかり接着されていることが伺えます。
参照元:鳥取CLT公式ページ(https://tottoriclt.co.jp/column/【clt・jパネルの外部利用について】-のご案内/)
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